「電源壊れた!」
ことの起こりは練習中に起こったあるギタリストの虎舞竜トラブルからである。
ギターの音色を変えるエフェクター(ライブ中に足で色々踏んでるアレ)に電源を供給する機械が壊れたというのだ。
確かに鼻を突く焦げ臭。
そしてうんともすんとも言わない電源マッシーン。
これは緊急手術だ!
~親父の会社にて~
僕「パパー!電源修理して!」
親父「今部屋に塩酸こぼしたから気をつけろ!」
気をつけ方、教えてください!
というわけで始まりましたパワーサプライ(電源)心臓バイパス手術!
さて今回はやっちんは何か役に立っているんですかね?
(塩酸で鼻やられました)
今日の患者。
異常に焦げ臭いです。
コンセントを差し込んでもうんともすんとも言いません。
意識レベルで言えば300(刺激しても覚醒しない)-I(糞尿失禁)ってところでしょうか?
まずはネットで心電図(商品の回路図)を探します。
親父「インターネットが普及してからこんなんすぐ見れて便利やのう」
文系の僕にはなんのこっちゃわかりません。
ピラミッド内部の地図とか言われても信じそう。
そして開腹し、臓器の痛み具合をチェックします。
赤い線はテスター。どこまで電気が通ってて、どれが壊れているか分かります。
僕と君の関係もこれでチェックした方がいいかもしれません。
(修復不能)
ドレーンを使って血(ハンダ)を吸い取ります。
この鉄砲みたいなので動脈瘤(古いハンダ)を吸い取ります。
摘出された患部。
左がICで右がトランジスタ。
摘出された後にはかなりの焦げ目が!
「ヒューズも何も入ってないもんやから、トランジスタが焼けて、ICが焼けて、トランスも焼けてるかもしれん。理想的な死に方やな!」
つまり肺と肝臓にも転移してて、内臓全摘出というわけですな!
心臓(トランス)が無事かどうかテスターで細部をチェック。
摘出された心臓の中を開けて、動脈が生きているか調べます。
どうやら心停止の模様。
心臓の血管を繋ぎ直して様子を見ます。
全然駄目。死んでる。
摘出された心臓。右心房がズタズタでした。
親父「こんなん繋いだまま電源つけてたら危険が危ないわ!」
危険が危ない!
それでは全移植手術開始です。
まずは摘出した臓器に合うドナーの臓器を探します。
仕事場にある様々なドナー(ガラクタ機械)の山から血液型(抵抗値)が合う臓器を捜して摘出します。
そして見つかった臓器(IC)を取り付けます。
余った血管は切り取ります。
次に数個のトランジスタをつなげた太目の血管をつけて、動脈瘤が起こらないようにします。(抵抗値を整えます)
つながりました。
黒くてたくましい極太血管です。
そして電気の流れを確かめます。
奥の白い機械は電圧とかを自在に変換出来る機械です。(説明下手)
高価なものらしいです。ン十万。
「へぇ~、高いんだこれ?」
バチュン!
白い機械の背後に回ったら突然感電したような音が!
ビックリしてのけぞると僕の服のチャックが機械の背部に当たって焦げてました。
「俺の背後に立つな…」
お前はゴルゴか!
テスターです。
電源の規格が9Vって書いてるから、最終的にこの機械がパワーサプライから9.00に近い値をたたき出せば完璧です。
ここで電源がなぜ壊れたかを親父に聞きました。
「つないでるエフェクターのどれかか、線がショートしてる状態で使い続けたんやろ。」
というわけで同時にここに搬送された血管を全部テスターでチェック。
異常は見つかりませんでした。
どうやら原因は電源を供給するエフェクターの方のようです。
そしてお亡くなりになった心臓に変わって取り付けられるのがこれ!
人工心臓。(ACアダプター)
パワーサプライの中に入る大きさの心臓が身近に無かったので、昔使ってた電話のアダプターを流用。
大丈夫かいな?
つうか内臓外に出てるやん!
もはや外臓やん!
まぁ壊れたものにお金をかけるのもバカバカしいので、サクっとつなぎます。
そして本体から伸びたコードの先には…
ジャジャ~ン!
バイパス手術完成!
もともとこのパワーサプライに使われていたトランジスタやらもろもろがショボイものだったらしく、
DC9Vの電圧が回路を通っているうちに8.2Vまで痩せてしまうのが親父は納得いきません。
「公称500mAって書いてるけど、実際には400くらいしか出せないぞこれじゃ。」
というわけで細部を色々いじります。
大型のヒートシンク(放熱板)をつけたり、抵抗値をあわせたり。
結局トランジスタの類は全部取っ払ってICを付けるという、内臓全部取替え手術になっちゃいました。
そんなんだったらオリジナル電源作って商売した方がよさ気。
そして…
「さぁ、本人評価額は高めですが…オープンザプライス!」
でたー!ばっちり9.00!
「いい仕事してますねぇ~」
そしてお腹を閉じます。
ばっちり性能も上がって修理完了!
(外見変わったけど。)
今年の僕のクリスマス。
過ごし方は、こんな感じ。
(DIYスピリッツが行き過ぎました。今回の反省点は、ダラダラしゃべってデータが重く、音質悪くする以外にUP出来なかったこと。借りてるサーバーが1 ファイル5M上限ってきつい。次回はフラッシュでファイル分断して優れた作品を。その次は映像を絡めた作品を。その次はインディーズデビュー→メジャーデ ビュー→市長立候補→議員選→総裁選→そして建国へ。)
「スタジオ作ればええやん」
きっかけは、当時バンドで使っていたスタジオ店長の言葉だ。
僕らが練習で使っていたのは、神戸三宮にある部屋が二つしかない小さなスタジオで、大学を出て部室を使えなくなった(卒業して暫くは後輩に迷惑な先輩として部室使っていたが)僕らは、昼夜問わずそこを利用していた。
スタジオ店長はご多分に漏れず古いロックが好きで、よく店のテレビはThe Whoやローリングストーンズのビデオが流しっぱなしになっていた。
僕はどちらかというとセンスや感情などという言葉が嫌いで、
「なぜ、そうなのか」
「どうしてこうなるのか」
にはきちんとした理由と理論がないと納得出来ないタチで、(そのくせドラムスタイルは感情に任せて叩くという難物なのだが)そのため「分かる人」「説明できる人」を妄信的に崇拝する。
そして当時Cubaseという音楽制作ソフトを買ったばかりの僕は、Pro Tools全盛の時代にCubaseを使っているスタジオ店長から、バンドの休憩時間や個人練習の合間に色々教えてもらうのがとても楽しみだった。
スタジオは結構狭くて、ドラムを全力で叩くと他メンバーから「シンバルがうるさい」と苦情が来る。
加えておそらく自分の耳も将来的に心配なので、ミュート(シンバルにガムテープなどを張って消音する)する。
そして練習するたびに
「Bさん(店長)すみません、ガムテープ貸してください!」
と店長にガムテープを借りまくっていた。
実際に僕がガムテープを使う量は半端なく、正直僕一人でほとんどのガムテープを消費していたにも関わらず、Bさんはいやな顔一つせずに「ほいほい」とも「はいはい」ともつかない返事で、黒いガムテープを貸してくれた。
ある時、個人練習でドラムを叩いていた日、
「ドラムって損ですよね~。練習するのがまず大変なんて他の楽器に比べたら凄くハンデですよ」
僕は当たり前の不満を店長にぶつけていた。
実際どこのバンドでも「ドラマーが脱退」というのは一番多いと思うし、一番聞く。
「なんでドラマーはよく脱退するのですか?あのバンド好きだったのに」
とか質問されることがあるが、僕もドラマーなので困った顔しか出来ない。
話がそれた。
「最近後輩から古いドラムセットを安く売ってもらって、ミニキットを作ってみたんですよ。親父の会社の倉庫に寝てますわ。」
相変わらずどうでも良い事をくっちゃべっている僕に店長が言う。
「じゃあスタジオ作ったらええやん。そんな完全なものじゃなくても、ドラム叩ければいいわけやし。」
そうか、無ければ作るか…それを聞いてさっそく親父に相談する。
実際にスタジオを自作する事は可能なのか?
「作れ。」
意外にも親父はノリノリで、作業工程も金額も労力も考えないまま、僕は工場二階の倉庫を整理始めた。
数ヵ月後、荷物の山だった倉庫に何とかドラムセットが置けるようになり、シンバルや太鼓に布を巻きつけて消音しながらドラムを叩くことが出来るようになった。
何の空調も無い倉庫は暑さと湿気と埃で悲惨な状況だったが、ドラムを叩くという快感はその全てを帳消しにしてしまう。
汗だくになりながら音がならない自分のドラムに酔った。
そうやってひと段落したある夜、ギターのアキヒロから電話がかかってくる。
アキヒロ「Bさんが亡くなりました。」
??
余りにも突然の電話に訳が分からないながらも、こういう時は何故か冷静。
事情と御通夜などはどうなるのかを聞く。
「僕も~~から聞いた話なんですけど、御通夜は実家が~~県なので、そちらでするようです。スタジオはオーナー?が開放してくれているらしくて、縁のある人は明日の晩、スタジオで別れを惜しんだりするそうです。」
「ほな明日ちょっといこか。」
あまり現実味を感じないまま、次の日の夜、スタジオ前でアキヒロと待ち合わせる。
スタジオに足を踏み入れると、知っている人も知らない人も、怖い人も年下も、私服も喪服も色んなジャンルの人が集まってダベっていた。
普段のスタジオにあるまじき人口密度の高さに居心地の悪さを感じながら、そこでバイトをしていた某さんを見つけて事情を聞く。
刺青バリバリのおっかない見た目なのだが気さくな人で、飄々と事の顛末を語る。
「そこで亡くなってたらしいから、みんな缶コーヒーとか花とか供えてるけどな。ちょっと手合わせていってやってくれるか?」
言われたとおりに手を合わせ、スタジオを見て回る。
おそらくスタジオはもう閉店になるだろうし、われながらどうかしているが、Bさんと話していたスタジオの防音材の貼り方を見ていたかったこともある。
「まぁ後日どっかのバンドから連絡あると思うけど、遺品っていうか、音楽的なものについては親類方の好意で形見分けされるかもしれんからな。」
某さんに言われ、別にいるもんないわ…とか思いながら帰る直前、ふと思い出した。
「あ、某さん、ガムテープ、もらっていっていいっすか?他は結構ですので。」
某さんは理解に困る顔をしながら、
「?それくらいやったら今持って行っても構わんやろ。(ミキシングルームに入って)ほれ、これでええんか?」
「ありがとうございます」
正直Bさんが亡くなったのが何月だったかさえ、覚えていない。
僕がアノ人と交わした言葉で一番印象に残っているのが
「ガムテープ貸して下さい。」
「ほいほい。」
であり、使うのが供養かな?と勝手に考えつつ、もらったくせに部屋に置きっぱなしのためなかなか減らないガムテープを見るたびに、なんだか間抜けていて良いなぁと不謹慎ながらも思ってしまうのだ。
そして僕はスタジオを作った。
はい、もう完成から1年くらい経過しているでしょうか!?
スタジオが出来るまでをドキュメント形式でお送りしていたはずのこのコーナーを、写真整理するまで忘れてました!ココまでの経過を完全に忘れているので、自分で過去のコーナーを読み返してから編集しております。
たしかスタジオ作ってて、壁が出来て、内装をはじめたんです。
まずはコンクリートの素と砂、水を適量混ぜてコンクリートを作ります。
床はしっかり作らないとね!
とはいえ工場なので床もなんか波型の変な床。
平らにするためにコンクリを盛ります。
コンクリ畑の出来上がり。
これが乾くまでに数日待ちます。
ドラムが工具にまみれて悲惨なことになっております。
固まったら今度は床の下に断熱材を敷きます。
寒いの嫌だから。
部屋の隙間には鉄板溶接でフタをします。
木を渡して断熱材を敷いた上にベニヤ板を二重においていきます。
これがまた重い!
敷いたベニヤ板の上にボンドをぶち撒き、カーペットを敷いていきます。
けして息子の不出来さに嘆いているわけではありません。
部屋の隅を接着しています。
久しぶりに不審者が登場します。
天井につけた凸凹埋め用のパテを削って平らにしていきます。
ずっと天井を向いての作業は地獄!
天井が平らになったのでペンキを塗ります。
これも辛い作業!
塗りすぎたら天井から落ちてくるし腕は痛いし腰は痛いしミケランジェロの天井画の大変さにびびる。
こっちは白一色ですが…。
お次は壁。
これは扉ですが、壁に電動釘打ち機で打ち込んでは棒で平らにならしての繰り返し。
次は化粧板にオイルステインを塗ります。
なんか木がかっこよくなるの。
オイルステインを塗った木を壁紙(壁にカーペットの荒業ですが)の隙間に貼り付ける。
ほら、部屋っぽい!
扉も大迫力!(重い)
さて、部屋がほぼ出来上がったので、親父のゴミ自慢のスピーカーを二階スタジオに運ぶ。
運ぶって重量300キロあるんですよ!
できるかぎりばらして、あとはクレーンで一気に運び込みました。
この高音用のホーンも塗料を綺麗に塗りなおしてやったのに、「音が気にいらない」とかで使わないでやんの!
キー!
ガワ(スピーカーの外の箱部分)を運び込みました。
人間はこのサイズです。
作業着がなんとか神戸のスタッフTシャツ?いいえ、宣伝用にわざわざ着たんです。
そして完成!
喜びのドラムを叩きまくる!
製作品目:マイスタジオ
製作期間:1年とちょっと(片づけを含めて)
製作費用:聞かないで
製作人数:ほぼ二人(搬出やら手伝ってもらった)
あとがき
まぁ防音という性質上、まだまだ完成とはいえませんし、素人が作っているものですから突っ込む部分も多いと思います。が、ひとまずドラムを叩けるスタジオという当初の目的を達成したので、ここで完結です。
方々から「スタジオ製作日記まだかよ!」と催促を頂きました、こんな馬鹿げた事に興味を持ってくださった皆さんにお礼申し上げます。
完成してよかった。
「言ってくれたら手伝ったのに!」
ありがたいです。
出来るまで誰にも言わなかったのは、有言不実行になるのが怖かったからです。
投げ出さずに何かを成し遂げるというのは自信につながります。
また何か、くだらないことを企んでみようと思います。
つうわけで前回出てきたクレーンのレール。
この黄色いところの上をごっついクレーンが電車みたいに走っていくんですが、スタジオの中をクレーンが走り回っていたらそれなんてアミューズメントパーク?って事になりかねないので、クレーンを部屋の外で使うようにし、中では使用不可にしてしまいます。
ペンキで綺麗に塗っていきます。
なんかちょっと船の中みたいでかっこいいですよね。
全部塗ったらこんなかんじです。
壁の白いのがコンセントです。
次に、レール(鉄)と壁(石膏ボード)の隙間をシリコンで埋めていきます。
部屋に一部の隙もなくすことで、中で練炭炊いたときにその効力が100%発揮されるからです。
(自殺ダメー!)
このような大きな隙間には
余った石膏ボードを同じ大きさに切り抜き、ボンドで接着、固まるまで万力で抑え固定します。
レール部分の細かい穴には、
同じ形の石膏ボードを切り抜き、
ボンドで貼り付けその後レールとの境目をシリコンで固めます。
こんな感じで完全密室殺人事件完成。アリ一匹、君一匹逃さない!
入り口の壁を裏から見たところ。
レール部分の壁を作るのが非常に困難。
グラスウールを貼り、ボードを固定するための板をつけます。
天井を作るために屋根裏に上っていたところ、鉄骨の間からこの倉庫を作ったときに大工が屋根裏に放置したと思われる缶ジュースの空き缶を発見。
ごっついスチール缶でメーカーは「弘乳舎コーヒー」。
聞いたことねぇ~!
昔ながらのプルトップ缶(フタを取って飲むタイプ)数十年前のものだと思われる。
だいぶ部屋らしくなってきました。
この頃は冬。11月くらいかな?
壁を作ったらストーブの効き目がぐんと上がって嬉しかったのを覚えています。