Moral Hazard!!

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タイ、香港旅行記 〜3日目、その3〜

1 Comment 旅行記,,

夜、美味しいと評判のタイ料理屋さんに行く為に、タクシーを予約する。

そのタイ料理屋さんはタクシーでよく使われる街から離れた場所にあるためか、普通の1、5倍ほどの値段になると言われた。
とはいえ、ホテルに居ながらにして予約出来るタクシーと、ストリートまで出て行ってトゥクトゥク(簡易タクシー)と値段交渉する手間を考えると、自ずと答えは決まる。

予定の時間から10分ほど遅れてタクシー到着、乗り込む。

運転手は最初は静かだが、こちらが拙い英語で話しかけると、途端に饒舌になる。
そしてこのタイプの人間が絶対に言うのが、

「サー、貴方が行こうとしているレストランは少し高いよ。僕ならもっと安くて美味しい店を知っているから連れて行こうか?」

こういった勧誘である。

まぁ知り合いのレストランに連れて行ったら、バックマージンをもらえるんだろうなぁ・・・。

しかし誰がサーやねん、と思いながらはっきり断る。

この辺は「断ったら悪いな」などという日本的思考をしているとやっていけない。
彼らも切り替えは早いし、変なしこりは残らない。はず。

30分ほど走った後、レストランに着く。
このレストランから帰る手段は他に無いので、何度も
「PM10:00に迎えに来てくれ」
と念を押して降りる。

レストランの名前は、Kan Eang 2 Seafood Restaurant。
シャロン湾を眺めながら食べる事が出来、夜景がとても綺麗だった。
外なので蚊の対策は必須だが。(というかタイにいる間かまれまくり。でも痒みは長くは続かない)

数軒でトートマンクン(エビすり身のさつま揚げ)を食べたが、ここのものが一番上品で美味しかった気がする。
タイの人は暑いからか、基本しかめっ面のような仏頂面の人が多いが、一言挨拶をするととても素敵な笑顔で返してくれる。
ただ、「スプライト」を注文したら、訳の分からない激甘オレンジジュースが出てきて、そのビンには「Splash」と書いてあった。
日本に帰ったら英会話を学ぼうと強く思った。

晩御飯を平らげ、テーブルのすぐ脇の浜辺のカニが巣穴から出入りするのを眺めながら、10時になるのを待った。
ここでなんとなく嫌な予感がしていたが、会計を済ませてレストラン入り口に出る。

タクシーはいない。

まぁタイの人はあまり時間を守らない(時間を守る日本人の方がおかしいのか?)ようなので、入り口にあるイケスを見て

「カブトガニがいる!」

と騒いでいた。

日本では環境悪化により数が激減している天然記念物で、わずかに生息している干潟では熱心に保護活動が行われているカブトガニ、2億年前から姿形を変えずに生き残っているカブトガニ、水族館で裏返しに見たらグロテスクさに驚くカブトガニ、その血液が医療に役立つ(エイズ抑制にも!)けど数が少ないから捕まえて3分の1だけ血液を採取して海に返してあげるカブトガニ、そのカブトガニが・・・

イケスに入っている。

正確には日本のカブトガニは近縁種の
「ミナミカブトガニ」
だそうだが、そのカブトガニがあるのに注文しなかった自分の間抜けさを責める。
この国には何をしにきたのだ!
甲殻類全てを食べつくして絶滅させに来たんじゃなかったのか!?

なかったです。取り乱しました。
祖父の埋葬でした。

話がそれたが、やはり10時を過ぎても待てど暮らせどタクシーはやってこない。
店の営業時間も10時までなので、店員は片付け作業に入り、店の看板の電気は消える。
こうなると俄然寂しさが増し、熱帯ボケしていた我が脳もにわかにドーパミンやらエンドルフィンやらを分泌しだす。

「やべぇ・・・このままでは帰られない。ホテルに電話しないといけない・・・がここは外国。
携帯電話は間違って日本から国際電話がかかってきたら困るから、電源を切ってホテルにおいてきた。となると選択肢は一つ、レストランに電話をかりてホテルに電話をかけるしかない。
しかしここはタイラーンド(ストⅡっぽく)電話のかけ方が分からないけどああなんか店員さんたちが向こうで宴を始めた、仕事おつかれさーん、ってか!まだだよまだだよここに困っている異邦人がいるよ助けてー!」

と近くにいた人にたどたどしい英語で

「タクシーを予約していたのだが、時間になってもやって来ない。ホテルに電話したいのだが、電話を貸してくれないか?」

と聞くと、その人は胸ポケットから携帯電話を取り出し、番号を聞いてきた。

ん?あれ?この人なんかタイっぽくない。
もしかしてスタッフじゃなくてお客さん?

どうも顔つきから中華系のおじさんっぽい。しかも隣にいる人は奥さんっぽい。
まずい、スタッフじゃねぇ!間違えた!
と慌てて謝るも、華僑のおじさん(多分)は丁寧に電話番号まで押して、携帯を貸してくれた。
ありがとうLENOVO!SAMSUNG!ありがとうLG電子!(後ろ二つは韓国企業です)

やった!ホテルには一人だけ日本人スタッフがいるから、この電話に向かってただ一言

「Japanese staff please!」

と叫べば任務完了だ!



ホテル「Sorry 、日本人スタッフはもう帰りました。(英語で)

使えねー!

予想だにしないピンチに焦る。

昼間はいたじゃねぇか!日本人スタッフが常駐って聞いたからこのホテルに決めたのに!
三日目までいなかったし、夜は定時帰宅だとー!?
(完全に逆恨みです。)

慌てながらも何とか状況を伝えないと・・・と、

「タクシー呼んでおいたのに、30分過ぎても来ない!僕はホテルに帰りたい!」

と英語で伝えると、

「Hotel's V.I.P car? or ouside~~(ホテルで手配したレンタカー?それともよそでレンタルしたの?)

と聞かれる。
誰がV.I.P(very important person)やねん!と突っ込みたくなる心を抑えて、イエスイエスオーイエス!連呼。

「I want to go back」
「I want to go back」
「I want to go back!!!」
「I want you back!!!!!」連呼。

最後のはジャクソン5ですが、なんだったらギンギラギンにさりげなく「I want you baby , Ride on!」もおまけしていいほど伝える。
すると、

「すぐ向かわせます(英語)、オーマチークダーサーイ(日本語)

と言われ、電話を切られた。
これほど発音の割に信頼出来そうな日本語は初めてだ・・・これでタクシーが来なかったらもう、タイで暮らそう。
そう思いながら、華僑にお礼を言う。

華僑は
「タクシーは来てくれるのかい?(来なけりゃ僕が送るよ的ニュアンスで)
と心配してくれる。
うわーんガイジン、イイヤツばっかー!と感動していると、タクシーが凄い勢いで走って来た。

華僑、奥さんと二人で
「よかったよかった!」
と言いながら、高級ベンツで帰って行った。
あ、タクシーよりベンツで帰りたかったかも。

着くや否や凄い勢いで謝るタクシー。

「Sorry Sir, パトンビーチまで行っていて遅くなった、~~~(早口で分からない)

とにかくSorryを繰り返す運転手。
多分忘れてて飯でも食ってて、ホテルから連絡が来たから慌てて走ってきたな・・・?と思いながらも、

僕「Traffic Jam?(交通渋滞?)

運転手「Yes, I'm sorry, sorry...」

僕「OK,OK, マイペンライ」

覚えたてのタイ語(マイペンライは、問題ないさ、大丈夫さなどの意味らしい)を使ってみる。

ホテルまで戻った後、タクシー運転手は恐縮しながら

「Good nigiht...」

と帰っていった。
まぁある意味GoodなNightになったからいいよ、もう。