Moral Hazard!!

ドラマーが音楽やホームページやガラクタを作るよ。

~雪中送炭~

No Comment 駄日記

「チャリチャリチャリチャリジテンシャ…」

午前7時ちょっと前、耳障りな金属音で目が覚める。

「またか…今年は多いな。」

憂鬱な理由は勿論、このタイヤチェーンの金属音を撒き散らしながら走行しないといけない雪にある。

僕が住む神戸北では、都心部三ノ宮からわずか20分という距離にありながら400mを超える標高差によって、しばしば積雪による交通機関麻痺が起きる。
雪が降る夜、次の日の朝、チェーンの音で起こされる日は大体車は使えない。
駐車場は家からもう一つ山を登ったところにあり、そこはチェーンがあろうが無かろうが車はNG。積雪の次の日には、無茶をした挙句ぶつけた車のバンパーなどが転がっているのは良くある光景。

が、今日は大阪でライブ。
家でぼた雪を眺めながらほうじ茶をすするなんて贅沢が許されるわけも無く、遅刻ギリギリの時間まで待った挙句、電車での通勤?を余儀なくされる。

写真左の車はおそらく昨晩この坂を登ろうとして失敗、ハンドルが取れなくなって縁石に無理やりぶつけて停止、車を放置して帰宅といったところだろう。
僕も4年ほど前に一度やった。特に下りはぶつけないと止まれないのだ。

駅に着く。

普段から車通勤なので、この休日の午前9時がどれだけの乗客で賑わうのかはわからないが、この日は電話で「電車で向かうので遅れます、ええ、はい…」のようなやりとりが構内でいくつか見られた。

僕はといえばこの日やたらと見られた、スカートとブーツの間を守る黒いタイツに挟まれたいなぁ…僕のやわらか戦車がティーガーⅠ初期型戦車に云々…とか考えながら、ぼんやりと神戸電鉄で山を下った。

 

30分後、三ノ宮。

アホか、やってられるか!

積雪の跡など微塵も無く快晴。
天気が良いのに鬱になるとはこれ如何に…!など愚痴りながら大阪へ向かう。
電車に乗らないといけない帰りが憂鬱だ。

無事大阪に到着、リハーサルを済ませて街をうろうろ。
観光地である道頓堀付近に入ってしまって人の多さにうんざりする。
昼飯を食べようと入ったうどん屋さんでは、結構混雑していたので名前を書いて順番待ちしていたのだが、座敷の前の客団体が出てくるときに「いかにも」ってオバサンが、僕の目の前でとんでもない(効果音にするのもはばかられるほどの)ボリュームのゲップをかまして、そのままシレッと出て行きやがる。
あまり好きではない大阪に来た事を再確認、とても帰りたくなる。(オバサンが大阪人、いや日本人であるかすら怪しいが)

夕方、長丁場ながら楽しいバンドも見れたライブイベントも半ばに、終電があるからというバンドマンなのに情けない理由で帰路につく。

帰りも数人見られたスカートとブーツの間を守る黒いタイツが枕になってくれないかなぁ…などと考えながら神戸電鉄に乗る。山を登るトンネルで耳抜きをしながら、仕方なく非常に邪魔なドラム機材をマクラにうとうとする。
電車移動のために用意したニンテンドーDSは、やっぱり人前でゲームするなんて恥ずかしくて、カバンから出動する事は無かった。

最寄り駅に着く。

両手に重たく大きいドラム機材を持って駅の外に出ると、凄い勢いで手首から先の温度を、人間味を奪ってくれる雪と風。
手袋を忘れたことを後悔しつつ、般若のような顔で機材を持ち、山を登る。
寒さに震えながらたまに冷静に「自分の住んでいるところ以外に、駅を出たら全方向山と坂しかないなんて場所、見たこと無い…」とか考えながら帰宅。

家の鍵を探していると扉の前から気配。
ライブのある日はなぜか犬が起きて待っている。
ドアを開けると飛び出してきて僕の荷物の匂いをかぎまわる。
仕方ないので以前頂いた犬のおやつを与えて頭をなで、風呂に入る。

午前1時半、疲労と時間感覚のバランスが取れていないことを不思議に思いながら就寝。
スカートとブーツの間を守る黒いタイツは特に夢には出てこなかった。

(以上、日記。)