Moral Hazard!!

ドラマーが音楽やホームページやガラクタを作るよ。

PAデビュー

No Comment DIY,Music

きっかけは一本の電話でした。

PAやらへん?」

僕らバンドマンが普段PAと呼んでいるのは、音響さんのことです。
Public AddressとかProffesional Audioとかいう意味らしいです。
ライブハウスなどに行った事のある人なら、ライブの時に後ろのほうで色んなつまみのついたでっかい機械をいじってる人を見たことがあるでしょう。

なんでもその電話の主が言うには、
カフェでライブをするのだが、音響設備が無い。
機材を持っているのならやってくれないか?
ということでした。

タイミングのいいことに、うちの親父が最近音響にはまっていて、PA用の機材はそこそこ揃っています。
そして親父は友人のミュージシャンのPAなどをたまにやっております。

問題は僕が素人ということ。

平日ライブに仕事の親父を担ぎ出すわけにも行かないし、場所が県外だったものだから僕がやるしかない。
「やるやる~」
と二つ返事でOKしたもの、そもそもドラムという楽器は、機械から一番遠いパート。
音響機器に使用する「8の字巻き」と呼ばれる基本的なケーブルの巻き方すら分からないドラマーは多い。
(と思う)

しかもそれどころか巻くケーブルすら足りない!
(当日は2グループで4チャンネル分ほど必要)

というわけでまずケーブルを7本ほど製作。

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マイクとPAミキサーを繋いだりするため、長めの10mにケーブルを切る。
「ほうら、こんなところまで丸みえだぞう~」
ケーブルの外見を剥いで内臓を出して辱める。

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次にケーブルのジャックカバーを取り付ける。
この部品は親父が奮発してちょっと上等な金メッキに黒のカバーの服を買ってきた。

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そして親父様にバトンタッチ。
親父様は向かい側でハンダゴテを使いオスとメスのジャックをつける。
そして僕らの休憩中に、ハンダゴテの上にクリーニング上がりの服を乗っけて、危うく燃やすところだったうちのオカン。
(燃えたのはかぶせてたビニールだけで済んだ)

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ケーブル完成。これがボーカルや生楽器(等)とPAを繋ぐ命の架け橋だ。

ちなみに、ライブに使うケーブルにも色々あったりするのだが、用語がまず全然覚えられない。
フォンジャックステレオモノラルファンタムハイインピーダンスインサートケーブルプリフェーダーゲインキャノンスピコン…
全然覚えられない。

「キャノンのオス~(取って~)」

とか言われるたびに 吐き気をもよおす。
勉強嫌い~。
これも受験勉強とかしてなかった報いか。

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最後にこんがらがらないようにテープで7色に色分けする。
テプラはこんな場面でも重宝する。

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今回はカフェでのライブということで、普段モニタースピーカー(演奏者が聞く用のスピーカー)に使っている小さめのものをメインスピーカーに使用。
となりは最近痩せすぎて写真写りに耐えない某バンドのドラマーだ。
食べ物よりも、愛をください。

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そして完成したケーブルを使って配線、色んな機械を繋ぐキューピッドになる。

ちなみに今回使うものは、

・ミキサー(色んな機械を繋いで音のボリュームや音色を調節する機械だぜ!)
・イコライザー(EQ。音のバランスを調整したりしなかったりするマシンだぜ!)
・パワーアンプ(調節した音を増幅してスピーカーに送る力持ちだ!)
・メイン・モニターの各スピーカー(これが無いと音が鳴らないぜ!)
・マイク(ライブハウスのは沢山の人のツバがかかっててすげぇ臭いんだぜ!)

こんなところですか。
戦隊モノで分別したら
・ミキサー=PAレッド
・イコライザー=PAピンク
・パワーアンプ=PAイエロー
・ スピーカー=PAブルー
・マイク=PAブラック
って感じかな。
うん、全然意味わかんないけど。

ちなみに真ん中手前がiPodです。なんかライブするのって大変なんですね。

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当日のライブではクラリネット奏者がいるということで、親父のクラリネットを使って音を拾う練習をする。(※親父は素人)
クラリネットは木管楽器だけれども、なんかこれはメタルクラリネットっていう昔のやつなんだと。
親父様は自慢げに価値を語るが、残念ながらこっちは興味が無いので超スルー。
後姿が悲しそうな親父。
あとは多チャンネル(ボーカル、コーラス、キーボード、ギターなど)のミキシング練習用に自分で怪しいトラック(ドラムとかギターとかベースとかの音)を作ってミキサーで音量やリバーブ(音がボワ~ンってなる魔法のスイッチ)のかけ具合を調整。

つまり、色んな楽器の音をちょうどいいバランスの音量や音色に調整する練習だ。

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ちなみに上のつまみが沢山あるのがイコライザー。
花も恥らうデリケートな女子なので、つまみは細心の注意を払ってかついやらしく大胆にいじる。
下はアンプ。骨太な九州男児だ。

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配線が3つ以上に増えると「オエ~ッ」となるけどガマンして繋ぐ。

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そしてライブ前日、僕の愛車「小さくってすいません号」には荷物が乗り切らないので、おかんの車を借りて乗せる。

そして伝説へ当日へ。

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ライブ直前の風景。

この写真で場所が分かった人にはなんかあげます。
某所の超お洒落なカフェ。

とまぁ、完全素人の状態からなんとか知識を頭に詰め込んでリハーサルに臨んだんですが、これがまたもうワタクシ完全にテンパってしまって大変。
アレだけ練習したのにもかかわらず、ケーブル配線で手間取ってしまって、バンドさんに迷惑かけまくり。
写真を撮る暇なんて全然なかった。

当日のライブは2ユニットで、楽器はクラリネットにキーボード、アコースティックギターぐらいで済みましたが、これにもしドラムが入ったら…なんて思うと悪寒が走ります。
というのも、ドラムってのは沢山の太鼓やシンバルの集合体。
そのぶんマイクも沢山立てないといけません。
つまりその分ハウリング(音がループしてキーンとかボワーンとか耳を突く不快ででっかい音。)する可能性がぐっと増しますものですから。

さらにリハーサルが終わってから客席後方のテラスの窓が全開になって、そこも客席になってしまったもんだから、音が外に抜けて作り直し。
ライブ中にハウリングだけは起こしちゃいけない!
とボリュームを上げるのをイモりながら、半泣きで機械をいじっておりました。

もうね、バンドでのライブの数倍緊張した。
普段あっちがわ(ステージ側)に立って演奏しているわけだけれども、こっち側から見ると色んなものが見えてくる。
だってバンドが出す音を全て管理するということは、自分がそのバンドの音(命)を握っているわけですから。
客席への音を出すのも自分。演奏者にモニターを返すのも自分。
そしてスイッチ一つでライブが台無しにもなる。

「このボーカルマイクをミュート(消音)すれば…全てが終わる…」

なんてライブ中に不謹慎なことを考えっぱなしでした。
(緊張してたんじゃなかったのかよ)

本番もどうにか無事終了して。

なんとか最後までハウリングを起こさずに終わることが出来て、一安心。
まぁ細かいミスや足りない部分は沢山あって、バンドに多大な迷惑をかけたんだけれども、バンドの人たちにも喜んでもらえたようで。
ライブ後にバンドさんのCDが売れたら、それもまた自分たちが演奏してるときとは違う喜びがあったりして。

この日は一日勉強になりっぱなしでした。
PAサイドに立ってステージを見るってのは、いかに自分が普段PAイジメなドラマーであるかということを痛感する結果にもなりましたが。

左利き→マイクセッティングが全部逆になるので、僕だったら混乱して間違ったマイキングすること必至。

コーラス→盛り上がりすぎて振り上げたスティックがマイクに当たるドラマーなんて僕だったらお断り。

モニター→ステージの広さが限定されている会場でモニターも左利きにセッティングするのはかなり重労働。僕だったら断る。

ドラミングのバランスが悪い→マイクに他の楽器のかぶりが多いドラムという楽器の特性上、出音のバランスが悪いドラマーなんて最悪。バスドラムちゃんと踏めよ。スネアだけでかいねん。

はい、僕ドラムやめます。
地球に優しくないから。僕のドラム。

で。

普段けっこう
「PAとか音響をやりたい人間って結構いるけど、なんであんなめんどくさいことをしたいのかな…」
とか思ってたんですけど。

めっちゃ面白い。

音をいじるのってめっちゃおもしろい。

これはクセになりそう。
親父がはまるのも分かる気がするから、そのうちあの機材を全部頂いてしまおう。

これからも機会があれば頑張ってみたいとおもいます!PA!

(ドラムはどうした!)